和歌山大学顧問
杉本特許事務所所長弁理士 杉本勝徳
「商標について」Q
商標法第30条に「専用使用権」という規定があって、第1項には「商標権者は、その商標権について専用使用権を設定することができる。」第2項には「専用使用権者は・・・登録商標の使用をする権利を専有する。」第3項には「専用使用権者は商標権者の承諾を得た場合・・・移転することができる。」と規定されている。
また第31条には「通常使用権」という規定があって、第1項には「商標権者は、その商標権について他人に通常使用権を設定することができる。」第2項には「通常使用権者は、設定行為で定めた範囲内において・・・登録商標の使用をする権利を有する。」と規定されている。第30条に規定されている専用使用権については、商標登録したが自ら業務の都合で使用する機会が無いときに、その登録商標に対して第3者に専用使用権を設定するものである。
この設定は有償でも無償でも構わないが、一般的には有償が殆どである。無期限の場合と期限を限定して設定することがあるが、期限を設定することが多い。商標権者は専用使用権を設定すると、自らも当該登録商標を使用できない。専用使用権は民法上、商標権と同様に物権的性格であり、権利侵害行為があれば、自ら差止請求権や損害賠償請求権を行使することができる。尚、通常使用権については次回に説明する。
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