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知的財産権講座(128)

和歌山大学顧問

杉本特許事務所所長弁理士 杉本勝徳

「不正競争防止法について」D
 不正競争防止法(以下不競法という)第1条第1項第2号の「自己の商品等表示として他人の著名な商品等表示と同一若しくは類似のもの・・・」という「著名」は、同条項1号の「周知表示」が類似商品の中で混同を引き起こすことを防止する規定であるのに対して類似商品を越えて混同を防止するものだ。

具体的な事例として「ソニー」を前回説明したが、実は「ソニー」が今日ほど著名ではなく、電機製品の商標として認識されていた頃のことであるが、指定商品チョコレートで使用するだけではなく他人に商標登録されたことがある。60年以上も前の出来事であるが、その当時には「ソニー」は電機製品以外では「著名」では無かったのかもしれない。これと同じような例として著名商標「サントリー」がバットやシャツに使われたことがある。

やはり60年以前のことであるが、他人に商標登録されていたかどうかは定かではない。何れにしても当時は「ソニー」または「サントリー」が本来の使用商品を越えて登録することは、需要者も含めて考えられなかったのかもしれない。不競法では上記の著名商標の他人の使用を禁止しているが、商標法でも4条1項15号で「他人の業務に係る商品又は役務と混同を生じるおそれがある商標」(著名商標)の登録を拒否している。


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