和歌山大学顧問
杉本特許事務所所長弁理士 杉本勝徳
「商標について」M 自分が使用したい商標を出願したところ、他人に先登録されている場合がしばしば生じる。その場合の解決方法について法律上いくつかの選択肢がある。先ず第1は先登録商標と同一または類似であるかどうかの検討だ。前にも述べたように商標の類否判断には3つのキーワードがある。
1点目は称呼類似、2点目は外観類似、3点目は観念類似である。3点のどれかに該当すれば類似なのだが、この類否関係判断については公式や定義があるわけではないので、過去の審決例や判決例を参考にして検討するほかない。どれかに類似する場合は登録したい商標を少し捻って類似関係を解消する方法がある。第2は登録商標を指定商品毎に分割する方法であるが、これは登録権利者との合意が成立しないと解決できない。例えばビールに「パラダイス」という商標を取得したい場合、先登録商標に同じ「パラダイス」がある場合、指定商品の分析検討をする。
ビールは国際分類第32類であり、先登録商標の指定商品が『ビール』『清涼飲料』となっていると、『ビール』『清涼飲料』は互いに非類似の指定商品であるので、『ビール』と『清涼飲料』に分割することができる。分割された指定商品『ビール』の譲渡を受ければ自己の登録商標として獲得できる。勿論譲渡対価と登録手続費用が掛かることは当然だ。
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