和歌山大学顧問
杉本特許事務所所長弁理士 杉本勝徳
「商標について」J
商標登録出来ない場合を商標法は第4条第1項第1号から第19号迄列挙しているが、前回では1号から11号までについては述べた。11号については拒絶理由に最も多く引用されているので、別途に詳細を述べるので、今回は14号から説明する。種苗法で新品種として品種登録を受けた商標は登録できない。例えば柑橘類に「じゃばら」という果物があるが、種苗法で30年以前に「じゃばら」として品種登録されているので商標登録はできない。
但し「蛇腹」は登録になる。15号は他人の業務と混同を起こす商標は登録出来ない規定であるが、具体的には商標の類似枠を越えて著名な商標について登録できないとしている。第10号が同じ指定商品の枠内で周知な商標は登録出来ないとしているのに対して、15号は指定商品の枠を越えて著名なものを対象としている。
例えば「サントリー」「ソニー」等はそれぞれ食品や電気製品の商標であるが、それらの商品を越えて衣類や薬に使用されても混同を生じる恐れが高い。このような商標については防護商標登録(著名な商標を使用しないが防衛のために登録されている商標)の有無にかかわらず登録を排除するものである。相当以前に「サントリー」印のシャツやバットに「ソニー」印のチョコレートにそれぞれ登録された例が在るが、15号ではそれらを排除する規定だ。
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