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知的財産権講座(66)

和歌山大学顧問

杉本特許事務所所長弁理士 杉本勝徳

「こんな発明あんな特許」(34)
前回のタマネギネット事件について少し述べましたが、この事件は和歌山地裁で審理されました。事件が起こったのは平成12年ですので、当時の民事訴訟法では、大阪地裁と東京地裁に限らず全国の裁判所が特許訴訟の管轄だったのです。和歌山地裁は特許訴訟が殆ど無いので不慣れであるため、裁判官は随分困られたと思いますが、一方で随分勉強もされたと思います。

「一切溶融しない」を巡って争点は2つありました。一つは被告である侵害者の製品のネット糸はどの程度融けているのか、二つ目は原告所有の権利に表現された「一切」とはどのような状態なのかと言う争いです。侵害者は糸が出来るだけ融けている製品を証拠として提出する一方、権利者は事前に押さえていた侵害者製品を証拠提出したのです。

この両証拠品について、裁判所は学者や民間検査会社の鑑定を採用する判断をしました。鑑定には神戸大学の中前教授の鑑定があり,中前先生は証人としても出廷されましたが、「一切」の意味については教授も苦渋の色を見せておられました。


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