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知的財産権講座(88)

和歌山大学顧問

杉本特許事務所所長弁理士 杉本勝徳

「実用新案出願の要件(1)」
知的財産制度の一つの柱に実用新案制度がある。この制度は明治36年に実用新案法制定によって生まれたものであり、以来113年間維持されてきたが、平成6年(1994年)に無審査制度に移行された。その結果、ピークには年間40万件以上の出願があったが、今では1万件以下に激減してしまった。

その原因は、第一に無審査登録によって、同じような技術が複数登録になってしまい、権利としての重みが無くなったことだ。第2の原因が権利行使に特許庁作成の「実用新案技術評価書」(実用新案法第12条、第13条)が必用なことだ。この「評価書」は実体審査と同じで、「評価書」が手元に届くまでに数カ月の時間が掛かり権利行使に時間のズレが出てしまうのと、費用が掛かることである(1請求項で4万円1千円の印紙税)。第3に、これは私の考えに過ぎないが、日本人は白黒ハッキリしないものについては信頼を寄せないところがあると思われる。

日本人の国民性は曖昧なところがあり、イエスノーを明確に表現しないが、社会の構造においては、白黒明確なものを求めようとする気配がある。政治的にも中道が躍進しないのはこの現れだろう。審査がない著作権制度が日本人に守られ難いのと同じで、実用新案制度も正に白黒明確でないことがネックになっていると思われる。


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