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知的財産権講座(121)

和歌山大学顧問

杉本特許事務所所長弁理士 杉本勝徳

「商標について」P
 前回は4条1項11号の先登録商標(以下11号商標という)と同一又は類似商標として拒絶される場合の対処方法として不使用取消審判を請求することを説明したが、今回はアサインバック対処方法を説明したい。先登録商標と類似と言うことで11号商標の拒絶理由を受けたときは様々な方法でクリア出来るが、11号商標の権利者にアクセスして、必要な指定商品(指定役務)に対して権利者と出願人が二重に権利を保持する法がアサインバックである。

商標法は類似商標を複数の権利者が所有することを認めているので、それを活用する。この方法は商標権の一部を譲渡受けるのではなく、権利者と拒絶理由を受けた出願人双方が権利者になれる方法である。手続としては出願人が11号商標の権利者に対してアクセスしてアサインバックをお願いする方法だ。出願中の商標を一旦11号商標の権利者名義に移転して、11号商標の権利者の商標として登録して貰う。

そしてその後に再度出願人名義に移転してもらうのである。これが成功すれば、11号商標で拒絶された出願人の商標が出願人名義で登録出来ることになる。もちろん11号商標の権利者がアサイメントを拒否した時は成り立たない。この手続は代理人弁理士に双方の信頼関係があってはじめて成立するし、11号商標の権利者に相当の対価の支払も必要である。


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