和歌山大学顧問
杉本特許事務所所長弁理士 杉本勝徳
「商標について」O
商標出願で最も拒絶理由として多いのが今まで述べてきたように、4条1項11号の先登録商標と同一又は類似商標として拒絶される場合である。前回にも述べたが、どうしても拒絶理由を覆せないと判断したときは、先登録商標に対して不使用取消審判を請求することだ。商標法第50条(商標登録の取消審判)に規定された、使用していない商標の取消を求めることである。この規定は大きく二つの要件を満たしたときに取り消されるとしている。
一つは審判請求前の3年以内に使用していないことであり、この場合4年前に使用していたと主張しても取消しを免れない。二つ目は商標権者は勿論、専用使用権者および通常使用権者の何れもが使用していない場合である。登録商標の指定商品(指定役務)は一つではなく複数の場合が殆どであるので、指定商品(指定役務)毎に不使用取消審判を請求できる。商標権者又は使用権者が指定商品(指定役務)全部を使用している事は先ずないので、出願人が欲しい指定商品(指定役務)に対して取消審判を請求すればよい。
この場合、不使用取消審判を請求することを感づかれないようにしなければならない。若し請求前3か月以内に感づかれると使用の実績を作られる恐れがある。従って権利者には感ずかれることなく密かに請求することが肝要である。
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