和歌山大学顧問
杉本特許事務所所長弁理士 杉本勝徳
「商標について」K
商標法第4条第1項第11号については、拒絶理由に最も多く引用されているのでその理由を説明する。11号の規定は次のように「当該商標登録出願の日前の商標登録出願に係る他人の登録商標又はこれらに類似する商標・・(省略)・・(登録しない)」となっている。出願より1日でも前に登録または出願されている他人の商標に類似する商標は拒絶する趣旨だ。重複登録を防ぐためにこの規定がある。
商標の類非判断には「称呼」(発音)類似、「観念」(意味)類似、「外観」(形状)類似のいずれかについて判断される。この3点のうち一つでも該当しておれば登録にならない。例えば「サン」という商標を出願して11号にもとづいて「太陽」が引用されて拒絶される場合である。この場合「サン」と「太陽」は観念(意味)において類似であるので拒絶になる。それでは「サン」と「サーン」は長音の有無のみであるので、その発音は聞く者にとっては両者の差異が判別しにくい。従って称呼類似と判断される。
それでは「太陽」と「大洋」はどうか。観念は相違するし、外観も漢字の相違により類似ではない。そこで称呼においては同一であるので称呼類似となる。「フラワー」と「サンフラワー」はどうか。前者は「花」であり後者は「向日葵」であるので両者は称呼、観念、外観のいずれも非類似と思われる。
|