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和歌山大学顧問
杉本特許事務所所長弁理士 杉本勝徳
「不正競争防止法について」F
不正競争防止法第1条第1項第3号(以下同法という)においてちょっと古いが基本的な判例がある。東京地裁平成10年(ワ)13395号事件(判決平成11年1月28日、いわゆるキャディバッグ事件)に於ける判決だ。同法の保護対象である形態模倣の対象とされる商品は、「自ら商品の形態を開発・商品化して市場に置いた者に限られる」というべきであるとした。
その理由は、自ら形態を開発した努力と投下資本を一定期間保護するのが趣旨であるから、開発者のみが保護されるのであり、単に初めて市場に置いた者が保護対象ではないとした。判決では次のように述べている。『原告はスーパーラップ型キャディバッグを、開発したCD社から輸入しあるいは第三者に製造させて日本国内において販売しているのであり、単に輸入業者として流通に関与し、あるいはライセンシーとして同種製品の製造の許諾を受けたにすぎず、原告自身が前記商品の形態を開発・商品化したということができないから、原告は、当該商品の形態の模倣行為に対し、同法に基づく差止請求権ないしは損害賠償請求権の主体とはなり得ない。』。
この判決の趣旨は開発者のみが保護されるのであり、市場に初めて置いたとしても流通業者は保護の対象ではないということだ。ところがその後、正反対の判決が出た。この件については次回述べる。
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