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知的財産権講座(101)

和歌山大学顧問

杉本特許事務所所長弁理士 杉本勝徳

「意匠法の改正」
意匠法の説明を連載しているうちに、本年度の通常国会で意匠法、特許法、実用新案法の一部を改正する法律案が5月23日に可決成立していた。この法律の施行日は本年6月9日であって既に実施されている。その内容はいずれも新規性喪失の例外期間が延長されたことである。

特許法30条、意匠法4条、実用新案法第11条(特許法の準用)のそれぞれに規定する新規性喪失例外期間が6か月から1年に延長されており、欧米の水準に追いついたことになる。特許法、意匠法、実用新案法の何れにおいても、出願前に公知になっているものについては、いずれも登録を受けることが出来ない。しかし、実際は出願前に見本市に出展したとか、マスコミにリリースしてしまったとか、TVに取材されたとかあるいは論文発表してしまった場合があり、その場合の救済措置として従来は6か月以内にその旨を申し立てて出願すれば新規性を認める扱いになっていた。

近年大学の教授の出願が増えているが、大学では論文発表が先行してしまって新規性を喪失して特許を取得できないケースが増えていることも法改正の一因である。このほか、意匠法では重大な法改正が準備されている。それは従来、意匠登録の対象ではなかった物品以外の物、例えば店舗とかビルの外観を意匠法の対象にしようとするものだ。詳細は次回に説明する予定だ。


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